次の日、部活中に二人だけになったところを見計らって






私は梶山くんに尋ねた。





「ねぇ、昨日言ってた意味って何?」




「なんか言いましたっけ~?」




「うん。思い出して」





「嘘です、覚えてますよ」






梶山くんはいつも通りの眼差しを向ける。




痛いくらい純真さが籠ったその瞳に





私は胸に痛みを覚える。






「どう考えても分かんないんだ。





ヒント、ちょうだい。」






梶山くんは微動だにせず、私に笑顔を向ける。




深い沈黙が続く。






「穂波先輩に聞いてみたらどうですか?」




「梶山くんの口から聞きたいんだけど」






私が言い返すと梶山くんは苦笑いを返す。






「ただ黙って見てていいんですか?先輩は。




穂波先輩が好きならちゃんと伝えるべきです。




伝えないと、相手は何も分かろうとしてくれませんよ」






「それが出来ないんだもん。結構意気地なしだし」






「自分の可能性を信じなくて




一体誰がその可能性を信じるんですか!!」






梶山くんが声を荒げる。





初めてだった。こんなこと言われるの。





目が合わせづらくて目線は自然と下へ向かう。






「いいですか、先輩?




あんた、いっつもニコニコしてるけど





俺にはぶつかるのが嫌で




ニコニコしてるようにしか見えないです。





何言われてもツッコミ入れて終わりですか?





いつまで、人とぶつかるの怖がってんすか!!





あんたの周りには




受け止めてくれる人がいるでしょう!?





なんで頼んねーんだよ!!」






梶山くんの気迫に押され更に俯く。