朝の夢のことは頭の片隅に寄せて、いつも通り登校した。


誤解されないために言っておくけれど、あの現実から逃げたわけじゃない。


あたしは、あたしを殺した犯人なんてどうだっていいの。


もともとあの二人には興味ない。


“以前”はいい友達として一緒につるんでいたかもしれないけれど、“今”は違う。


今のあたしは、シイナをもう一度殺すことができればそれでいい。


“挑戦状”を受け取ったからね。


憶測に過ぎないのだけど、おそらくシイナはあの二人を殺すだろう。


シイナにとっては、彼女たちも憎むべき存在のはずだから。


あの二人がどんな運命を辿っていくのかなんてあたしには無関係だけど、あたしが手を下すくらいならシイナに任せる。


セコいって?


わかってる。


言ったじゃん。


あたしは、臆病者なんだって。


…でも、あまりにも大胆に動かれると、都合が悪くなるのはあたしの方。


こんなにも神経を使う生活は、本当に面倒だ。


一刻も早く解放されたい。


こんな生活からも、シイナからも。


あたしは臆病者。


だからこそ、彼女を消すためならなんだってできる。


あの“赤髪の少年”だって、消せる。