学校の正門前。


生徒たちがその門を三々五々通過していく中で、あたしはシイナを見つけた。


好都合なのかどうかはわからないけれど、彼女はその時点ではあたしに気づかなかった。


いつの日かの記憶の中で、あたしが殺したシイナ。


そして今現在、あたしを殺そうとしているシイナ。


あたしが把握している限りでは、周囲の人間は“シイナとミオの仲が悪くなった”という程度の解釈で終わっている。


…………甘い。甘すぎる。


仲が悪くなった?


あたしとシイナは、もう仲直りができるような関係なんかじゃなくなっている。


もう、そんな簡単な関係なんかじゃない。


お互いが邪魔で仕方がないんだよ。


シイナがあたしを殺そうとしていることを知ったあたし。


あのシイナにそんな大層なことができるはずもない。


その前にもう一度あたしが始末してあげようじゃないの。


そう思ったのだ。


仲直りなんて、もうできないよ。


それに、あたしもシイナも、“仲直りしたい”なんてこれっぽっちも思っちゃいないんだから。