午後4時50分。


約束の時間まであと10分というところで家を出た。


母からは危ないと止められたけれど、学校の周辺は通らないからと言って出てきた。


通学路は通るが、学校までは行かない。


ミオの指定した、人通りの少ない静かな路地だ。


私がそこに着いてすぐ後にミオもやってきた。


「今朝のニュースすごかったよね。びっくりした」


ミオはそう言いながら様子をうかがっているように感じた。


私にはそれが煩わしくて彼女の話には耳を傾けなかった。


「……ねえミオ」


余命、あと36分。


意識するたびに少しずつ全身に緊張が走ってくる。


「正直に答えてほしい」


言うと、ミオはさっきとは少し違った顔を見せた。


高温多湿は季節と妙な緊張のせいで手に汗と湿気がこもって、気持ちが悪くなる。