「よおシイナ」 窓の外から少年の声が私を呼ぶ。 雨のせいで窓を開けて顔を出すことはできなかったけれど、窓越しにその姿を見ることはできた。 傘の下でニッと笑みを浮かべている少年。 もちろんそれはリックだった。 「はやくしろ。遅刻するぞー」 「わかってる」 私は急いで階段を駆け下りて 傘をさしながら玄関を飛び出した。