駆け抜けた少女-番外編-



「煩いのがいなくなったことだし、これでゆっくり休めるだろ」


頷くのも億劫で、瞬きで表現してみました。

 
それが何となく通じたのか永倉さんは笑って、また私の額に触れる。


「辛いな。今日は何も考えねぇで寝てろよ」


コクン。


落ち着く。


普段は怖い永倉さんだけど、こう弱っている時は誰よりも優しかったりする。


「食欲は?」


フルフル。


「薬はまだだよな?」


コクン。


低い声でゆっくりと問い掛けられているうちに、なんだか眠くなってきた。


それは多分、永倉さんが頭を撫でてくれているせいもあるんだろうけど。




「食事も取ってなくて薬もまだって。あいつら本当に何してたんだよ、ったく」


「永倉、矢央の調子はどうだ?」


「おお土方さん。んー、良くはねぇな。馬鹿共が騒ぎすぎたせいか、熱も高くなってるし」


「総司達か……」




んー?この声は土方さんだあ。

土方さんもお見舞いに来てくれたのかな?



「で、土方さんはどうした?矢央の様子を見に来ただけか?」

「あーまあそれもあるんだけどよお。おい矢央ちょっといいか?」


控え目な足音がしたと思って目を開けると、顔を覗き込んできた土方さんと視線があった。


………びっくりしたあ。




「熱あるとこ悪いが、お前昨日俺の書類整理手伝ってくれたろ。あん時に…その…あれがな」



土方さんの書類整理の手伝い、確かにした。


足の踏み場がないくらいだったしと、思い出していると土方さんは永倉さんに聞かれたくないのか、さらに身を折って顔を寄せてくる。



「だからな、あれだよあれ…俺の書いた…だな」


土方さんの書いた………ああ!!



「俳句の紙だっ──」

「っだああっ!!その紙は何処にやった?」


キーーーーーーーーンッツ!!と、耳鳴りがして、頭もクラクラする。


俳句の部分に土方さんの大声がかぶさっていたおかげで、永倉さんはちんぷんかんぷんといった感じだった。