むかしむかし、天宮グループという日本で一、二を争う大企業がありました。
天宮家は、父、母、姉、私、という家族構成でした。
父は社長で、母は副社長、姉はいわゆるエスカレーターの学校に通っていました。
私は幼稚園時代だけ姉と同じ所に通っていたのだけれど、小学校からは普通の子たちと同じ所に通いたい、と言いました。
姉は車で送迎してもらっていて、誘拐とは無縁でした。
私は普通の子たちと同じが良かったため、車を拒否しました。
結果、私は何回か誘拐されました。
人生最後の誘拐は、監禁されていた部屋に一人の男の子が来ました。
小学四年生になったばっかりの頃。
男の子が来た時には、私はすでにぼろぼろでした。
一日経っても帰れないから暴れました。
暴力を振るわれた。
……未だに消えていない痣が憎い。
実はね、一緒に監禁されてた男の子が私の初恋でした。
………小学四年生の2学期に想いは消えてしまったけれど。
