君と過ごした日

今はもう、苦しくない。


「笑美、」


わたしは優くんに微笑む。


言葉には出来ない、特別な想いを込めて。


「あのねお兄ちゃん。」


「うん、」


「わたし、お婆ちゃんからのお手紙を読んでからね、お兄ちゃんにずっと会いたかった。」


「…、」


「パパとママがいなくて、おじいちゃんもいなくて、お婆ちゃんとずっと二人で暮らしてた。」


「うん。」


「それまでお婆ちゃんがいたから、寂しくなかったの。でもね、お婆ちゃんがいなくなって、どれだけ優くん達がいるっていっても、寂しかった。」


家族と友達は、別なんだってその時に初めて思った。


「だから、例え血が繋がっていなくってもね、お兄ちゃんがいるって。まだわたしには家族がいるんだって分かって、寂しくなくなったの。」


「笑美…。」


「お兄ちゃん、今日は会いに来てくれてありがとう。本当に、嬉しい。」


ああ、また、泣きそう。


「こちらこそ、俺と会ってくれてありがとう。また、」


お兄ちゃんも少し目が赤くなって。


駄目だ、本当に泣きそうだよ。


「また、俺を、お兄ちゃんって呼んでくれてありがとうっ…。」


「…っ、」


はらりと、涙が零れる。


―ポン、


優くんが頭を撫でてくれる。