君と過ごした日

「緊張、する。」


それも当然か。


わたしには、お兄ちゃんの記憶なんて無いのだから。


…なんだか、それはそれで冷たいな。


「いつでもいいさ。会うのは笑美なんだから、好きなタイミングで連絡を取ったらいい。」


「そう、だね。」


ぐしゃぐしゃにしてしまわないよう、丁寧に持つ。


…あれ?


「そういえば、何で優くんはこれを持ってたの?」


「ああ…。これだよ。」


「ん?」


優くんが差し出したのは小さなメモのような紙。


「えっと、『優心くんへ』…?」


「これら手紙全部が入ってた所の一番上にこれが入ってたんだ。内容は、その手紙について。」


んと、つまり…?


「お兄さんについての所は、笑美が知りたがったら読ませてくれって。あと、お兄さんの住所とかも。」


ふうん?


「分かってないだろ…。」


「え、えへへ?」