記憶の中の二人も、もう顔は思い出せないのと同じくらい曖昧で。


でも、とても愛されてた事は覚えてる。


だからこそ、ショックなのだ。


二人が、本当の親でないことが。


ふらり、と立ち上がる。


手紙を、きつく握り締めて。


今のわたしは、どんな顔をしているのだろうか。


そう、頭の片隅で思いながらわたしが向かったのは。


―コン、コン…


―ガチャ


「笑美?どうし、」


ぎゅっと、力の入らない腕で抱きつく。


震える手で、優くんのパジャマを握る。


「こ、わい。」


「え?」


ふるふると、体が震える。


わたしは、今ここに居るのだろうか。


「た、すけて。わたし、」


どうしたらいいのか、そう言おうとしたのを優くんに強く抱きしめられて遮られる。


「大丈夫、大丈夫だ。」


震えが、落ち着いていく。


ああ、なんて心地がいいのだろう。