ドアが開きエレベーターから降りようとしていた彼女を見てもっと話したいと思ったから、車椅子を押してあげた。

「どこに行くの?」

彼女は少し驚いていた。

「いいです、自分で押しますから。」

「いいから、どこに行くの?」

「じゃあ、海の近く。」

車椅子を押して海の近くに連れて行ってあげた。

海の近くに来ると彼女は海の遠くをずっと見つめて、綺麗だといった。



そのとき僕は彼女の瞳を見て感じた。


必死に何かから逃げようとしている苦しみを感じた。

僕は彼女を苦しみから守ってあげたいと思った。