長いことそうしてもらい、やっと少し落ち着いた



「もう大丈夫ー?」

「ん、あんねそろそろ話そっかな?
海深は信用してるし」



まだ早い気がするけど、これから3年間は相部屋なんだから言っていたほうが良いだろう


どうでもいい、ただの同室者ならば話さないが海深達とは仲良くしていきたい


そう思い、決心した


海深は静かに頷いて、「ゆっくりでええからな?」と言ってくれた




ゆっくりと、俺の過去を教えた

ただ、やっぱり生きている事への罪悪感をいだいてる事は話さなかった


静かに聞いてくれた海深は、聞き終わると話してくれてありがとう、と言ってくれた



同情もないし、辛かったな……の一言もないのが良かった

辛かったなと言われれば、まだ辛いんですけどね。と思わず返してしまうし、同情されれば気持ちもわからないくせにと思う


俺がひねくれてるのかな、と思いながら海深にマリモに対しての嫌悪感も告げた



「名字は違うんだけど、あのマリモ5年前のアイツの面影があんの
だから、純粋に嫌いなんだ」

「そうやったん?
あのマリモちょっと調べてみやなやな……」

「うん、あの後中学校1年で出てきたらしいんだけど、その後はどっかの親戚に引き取られて名字も変わったらしい」

「うわぁー、それまたいつ会うかわからん奴やねんな」

「ん、でも向こうも俺も記憶はないから憎悪はあれど恐怖はないんだ」



ただ、向こうがふとした時に思い出さないかな?とは思う

俺を見かけた瞬間とか……



「優ちん、でも無理はしいなや?
俺も、雲丹もああ言ったけど優ちんが傷つくんは嫌やからね」

「ふふっ、ありがとう」



今はただ海深の優しさが嬉しかった


こんな優しい海深、他の2人にも言ってもいいかな?と思いながら笑顔がこぼれた





「優、言えたんだね」

「ふぁっ!?」



後ろから聞こえた声は、いつも聞いているもの


そう、秋さんの声だ


何故今この場にいるのかと思いながら、まるでロボットのように後ろを振り向いた



「優ちゃん、あんな事言ってごめんな?
無理しちゃいけないかんな?」

「優、元気が一番大事だから
海深と雲丹の言う通り無理はしないこと」



驚くことに優しく笑いかけてくれる秋と雲丹と水輝がいた

そんな3人を見た瞬間また溢れた涙


グズグズと鼻を鳴らしながら、みんなに泣きついた




「グスッ……お前ら優しすぎかっ……ッ、ありがどう……」




秋にタオルをもらい遠慮なく泣いた


人間日頃泣かないと、一気に爆発するもので




今まで溜めていた涙が一気に溢れた

あの時みたいに、子供みたいにわんわん泣く俺


でも、あの時と違うのは独りぼっちじゃないこと
悲しいから出てくる涙じゃないこと


あと、優しさに溢れた涙なこと





俺は心の底からこの学校に来て良かったと思えた夜だった