「ぁー!シリアスなのは似合わない!!!」


小さな声で叫ぶ

一応夜中なんだから、自重はしなくては



秋も海深も雲丹も水輝も、まだ生起きてはいないだろうと思いながら部屋に戻っていく


カラカラッ……となるべく静かにベランダの戸を開ける


起こさないように、注意してだ




「あれ?優ちん?どしたんー?」

「えっ!?」



だが、そんな細心の注意も無駄にしちゃうほど大きな声が漏れた


誰もいないと思っていたリビングに、海深が居たから


お互い驚いた顔を見合わせ、目をぱちぱちと何度も瞬きさせた




「ぇーと、いわゆる男子高校生特有のムラムラかいな?」

「海深?なにを変なこといってんの?
むしろ海深の方がムラムラ?」

『あははー』



お互いなんといっていいのやら

しかも、俺はお酒の空き缶を持っているわけで……

まぁ、海深も持ってるから気にはしないけど



「優ちんやってんねー
お酒飲んどんのん」

「ぇ?これ、俺のじゃねぇよ?」

「ぇ、そうなん?
誰のか知らんねんけどもらってんねん」

「同じく」



海深のなのかと思ったが、どうやら違ったらしくじゃあ雲丹かなーと考える

海深は俺がシリアスチックになっていたのは気付いてないのか普通に喋ってくれるのに安心した

海深もこんな時間にこんな所にいるのだからどうかしたのかと聞きたかったが、あえて聞きはしなかった



俺が聞かれたらなんて答えればいいかわからないから




「んじゃ、俺そろそろ寝るな」

「ん、
ぁ、優ちんちょい待ちぃ」



海深の横を通り過ぎ、部屋の扉を開けようとした瞬間海深にてを引っ張られた


なんだと、思いながら訝しげに海深を見る



「優ちん、泣いたやろ
どしたん?俺には言えんこと?」

「ぅっ……もう、何でバレんのー」



優ちんのことならすぐ分かるで、と優しく笑いかけられ、その優しさがどこか悠斗ちゃんとかぶった



ポタッ……と思わず流れた涙を笑って誤魔化す



「ははっ、何でだろー……
海深、責任とれー」

「へぁ!?……ん、でも責任とったるわー

よしよし、安心しー」



俺の頭を撫でながら抱きしめてきた海深

普段ならばフラグを折るためすぐに、抜け出すが今だけは身をあずける



どうしても、寂しかったから……