この日をさかいに早紀は山本さんと電話をすることが増えた。

山本さんの仕事の都合で、なかなか時間はとれなかったが、たまに例のマロウドで会っては夕食を共にしたのだった。

そんなある日、山本さんが早紀に言った。


「たまには、神野の手料理でも食べたいな!」


と・・・

早紀は面食らったが、


「私なんかの料理で良ければ、作りますけれど・・・」


と早紀は答えた。


「じゃあ、俺も手伝うから!」


と山本さんは言った。

二人は、マロウドから出て、会社とは反対方向のスーパーへと向かって歩いていった。