私がぶすっとしたまま

借りたタオルで髪や肌を拭くと

こいつの納得したように頷く動作が視界に入る。


私はそれを見て軽く舌打ちする。


「なっ!!おまっ!

女の子が舌打ちなんかするんじゃありません!」


ふざけた調子で慌てて「めっ!」と言うこいつに

「キモ……」なんてぼそっとつぶやく。


「おい、聞こえてんぞ。

……めぐむちゃーん?何でそんな不機嫌なのー?」


いつもは呼ばないくせに

急に下の名前で呼ばれて思考がとまる。


ああ、もう、


こいつの、高橋―たかはし―の、


こういうところが嫌い。



……ううん、嘘、好き。



『高橋くんのお調子者のくせに

なんだかんだ優しいところが好きー』


クラスで可愛いと言われている小牧―こまき―さんが
教室でそんなことを言ってた。


その時思った、

なんだ、私にだけじゃないのか。


そんな嫉妬心を抱いて自覚したこの気持ちは


その可愛い彼女が本日実行した、

こいつへの告白で

あっけなく結末を迎えた。