「茅島―かやしま―お前さあ、

風邪引くぞ?」


無理やり連れてこられた、

すぐそこにあった公園の屋根着きベンチに座り

私は足をプラプラさせる。


「だからこれ、未使用だって!な?」

何度目か、差し出されたタオルを一瞥する。


彼の髪からぽたぽた滴る雨水が

同じく濡れているシャツに染みていく。


無表情でそのタオルを持つ手を無視すると、


「あー、もう!!」


急に視界が覆われ、

頭がぐらぐら揺れる。


「びびったわーゲリラ豪雨だべ、これ」


頭上で響く、呑気な声。


「ちょっとやめてよ!!」


私の髪を豪快にわしゃわしゃと拭く彼の手を

自分の手で制止させる。


「んじゃ、自分で拭け。な?」


タオルからのぞいた優しい笑顔に

胸が高鳴った。


だから、もうそれもダメなんだってば。