にやけを我慢して見下ろすと、


「これからは彼女にだけ、

ちゃんと優しくしなよ」


無理やり取り繕ったような笑みの顔が上がった。


「なんとも思ってない子には

タオル貸して優しくしたり、

下の名前で呼んだり、

ましてや頭なんて、撫でちゃ、ダメなんだからっ……」


自分で言いながら、

また泣き始めた。


何だこの生き物。


可愛すぎんだろ。


また俯いて、

必死に目をこすっていた。


俺はその手を掴み、

代わりにタオルで涙を吸い込む。


ぽかんと俺を見上げた表情がまた可愛い。


「ああ、そうするよ。

俺はなんとも思ってない奴には

優しくしない。


誤解されたら困るもんな」


言い終わって

茅島を見ると、

また滝のように溢れ出す涙。