「北 自由の正体は、美原 麻友です」

 南の言葉に百寿が驚く。

「麻友ちゃんは、死んだはずだろう?
 葬儀だってあげたじゃないか……」

「その記憶は、私が作りました」

「どういうことだ?」

「私も実は能力者なんです。
 能力名は記憶の改ざん。
 あったことをなかったことになかったことをあったことに。
 記憶において全てのすり替えが可能です」

 南の言葉に一同は、驚く。

「どうして俺たちに相談してくれなかったんだ?」

 博士が、南に尋ねる。

「黙っているようにと上からの指示でした。
 彼女にも勿論記憶の改ざんはしました。
 その後、別の学校に通い私の親戚の家で養女として暮らしました。
 でも、突然思い出したんです。
 茂くんたちのことを……
 思い出したらもうどうすることもできません。
 茂くんたちに会いたいという思いは強く……
 仕方なしに茂くんたちの通う学校に行くことになりました」

「麻友が、狙われる理由はやはり……」

 鴉が南を見る。

「はい。
 麻友ちゃんは、プレゼントの能力者です」

「そうか……
 それで轟は、麻友を狙ったんだな」

 鴉が納得する。

「そのこと茂たちは……?」

 百寿が、南に尋ねる。

「もちろん知りません」

「それを知ったときアイツは、ショックを受けるだろう」

 百寿が、そう言うと悲しい目をした。

「どうしてだ?
 死んでいたヤツが生きていたら嬉しいだろう?」

 鴉が、百寿にそう言った。

「そう単純だといいのだがな……」

 百寿は、そう言ってタバコに火をつけた。