お湯を沸かし、コーヒーを淹れる。


自分用のマグカップに入ったコーヒーをすすりながら、なんとなくTVをつけた。


やっていたのは、ニュースだった。


ふと時計に目を向けるとまだ5時半だ
った。


ゆっくり準備したつもりだったが、まだまだ時間に余裕がある。


いつもなら朝ごはんの準備をするのだが、今日は食べる気になれなかった。


ソファに座り、ぼんやりとTVのニュースを眺める。


ぼーっと眺めていたら、朝の星座占いというコーナーが始まった。


占いなんて信じていない僕は、いつもなら、こんなコーナーが始まった瞬間にチャンネルを変えるのだが、今日はなんとなく、本当にただなんとなく変えることはしなかった。


『それではー、第2位から発表していきまーす。』


間延びした女子アナウンサーの猫なで声に少しいらっとする。


『えー…。
第2位は、おとめ座でーす!
続いて、第3位みずがめ座、第4位は
しし座です。……』


淡々と発表されていく順位。


僕はおうし座だ。


そして、残っている順位は1位と12位だけになってしまった。



『えー…、それでは今日の第1位を発表しちゃいまーす!
…第1位はぁー…、おうし座です!』


………………。


"まぁ、信じてないけど1位でよかった…のか。


これでさらに12位とかだったら、学校休もうかなと、思っていたのに…。


こういう時に限って、1位になったりするんだよな。"



『今日のおうし座の運勢は絶好調です!
とにかく、なにもかもが思い通りにいく日。
もしかしたら、運命の人とも巡り会えるかも?』


……………。


すでに、最悪な気分なんだけど。


"まぁ、いいや。"


TVの電源を切り、飲み終えたコーヒーのマグカップを洗った。


自室に戻り、制服の袖に腕を通す。


時計に目を向けると、針はまだ6時前を指していた。


"かなり早いけどまあいいか。
散歩でもしながらゆっくり行こう。"


「いってきます。」


玄関には静かに自分の声だけが響いた。