1日の練習も終盤に差し掛かると、
1年生の体力は限界に近付く。
その中、輝いて見えるのはへとへとになっても機敏に動く2年生と3年生の姿。
《 二宮、部室にある俺のタオル取ってきてくれないか? 》
3年生の部長からのお願いは聞くしか無い。
「えーっと、部長のロッカーは‥っと」
‥うわ、最悪。
上のロッカーとか届かないし。
それに、もう夜になる頃で外は暗くなってきていて部室ももう暗い。
その中で椅子に乗って立つのは危険だ。
頑張って、背伸びして取ろうとするけど
やっぱり届かない。
『はい、どーぞ___』
いつの間にか、私の後ろから手が伸びていて私の目当てのものが目の前にあった。
慌てて振り向くとそこには、
「しゅ、春くん!どうして?」
『いや、転んじゃって。手当してくれない?』
「あ、うん」
春くんの手にある部長のタオルを貰って、
私は棚にある救急箱を取り出した。
暗いせいで、
春くんの顔はよくわからないけど、
擦り傷が大したことがないのはわかった。
『ありがと』
「いいえ、どういたしまして」
颯爽と練習に戻る春くんを見て、
やっぱり春くんは、野球が好きなんだなと思う。
《 じゃあ、もう練習終了するから
1年は片付けやっとけー 》
部長の一言で、3年生は部室へ
2年生は水道へ、1年生は片付けをし始める
『あ、七瀬ちゃん。
今日も葵と一緒に帰る?』
「多分、約束はしてないけど」
『じゃあさ!付き合って欲しいんだけど』
「‥あ!うん。いいよ!
けど、帰る時間遅くなるよ?」
そう、私は唯一の女子なので、
私1人のためだけには更衣室は無く
結局、皆が終わってからじゃないと
体育着から制服へは着替えられない。
『わかった。待ってるね。』
一応、葵には伝えておこうと思い
部室に戻ってきた葵の腕を引っ張る。
「葵、私さ。今日、帰り春くんに誘われたから一緒に帰るね?」
「は?なんで、春?」
「よくわからないけど、付き合って欲しいんだってさ」
「どこいくの?」
「そこまで、わかんないよ」
「そっか。気を付けろよ。」
うん、ありがとう。だけを伝えて
皆が帰るのをひたすら外で待っていた。

