『わかってるよ。
ヒロちゃんが消せない事は。
どんなにヒロちゃんが好きだったか分かってるから』

初めの頃はタクヤはヒロを越えてみせると言っていた。

でも、独身主義の自分が私に応えられない限り、限界に気づいたのだ。

それに私はキリスト信者だったから、婚姻外の体の関係はとても苦しい事だった。

確かに婚姻外でそういう仲だと、婚姻関係にあるより、女や子供にとって色々なリスクが起きる確率が高い。
婚姻というものは、そんなリスクを回避するお守りでもあるのだ。

愛する人と家庭を持ち、愛する人や子供の世話をし、食べ物や寝る所に困る事なく、健康で平和ならばそれでいい。

それが私が一番望む幸せだった。

そして私になかった。