病院のラウンジは、私の所だけ時が止まっていた。

頭が真っ白だった。
いつかはと思っていても、幸せそうな様子は私の心を裂いた。

命が揺らいで、ケイの行く末を案じる私に、あまりに残酷なタイミングだった。

冷静になろう。

これでケイにあの人達は手を出せない。
出さないとわかって、良かったじゃないかと。

私に万一の時は、ユウがケイをみると言ったけれど、離れて住んでいるし、ユウは体を壊したまま、長く半同棲していた彼女が妊娠し、結婚して、もうじき子供が生まれるし、彼女が働いている為、ケイを頼めない。

第一、ケイは今こちらで高校に通って頑張っている。