君と初めて会って、19年余りが経った。
そしてこの前の日曜は、ちょうど君の誕生日だった。

私の命の灯が、もはや危ういかもと、そう聞かされて、ケイの為に、君の様子を知りたくて、お祝いの日には必ず、実家に集まる君の所へ私は電話をした。

君のお母さんが、元気に出て、その後ろで駆け回る小さな子供達の声が、静かに私の心にまっすぐに、横一文字に傷を刻んでいった。

お姉さんの子にしては幼すぎて、ちょうどまだ君が一人と聞かされて、あれからなら君の子供達だと容易に想像出来た。

『いつかあそこに座るのは、君とケイだよ』

そう君が言った家族連れ。

君は隣は違う人を座らせたのですね。

二度目の裏切りでした。

私達を迎えに来ると、お父さんとお母さんが死んだら、私ともう一度結婚して、ケイとも家族で暮らそうと、言ったのに。

嘘つき。

病院のラウンジで、ちょうどおじいさんが咳をしたから、私だとわからずにすんだから怪しまれる前に切った。