紙でしっかり印された家族になっていたヒロとユウとケイと私。

家族であった、妻であり夫であったその事実と絆、そしてケイの存在は大きい。

芽生えた命を流産させたのはタクヤであり、その後の流産も一人で悲しまなければならなかった私の心の傷は深い。

男には実感が無いらしいけど、人によると思う。


タクヤの激務の事でタクヤの会社の人事の次長にも、タクヤに内緒でスパイみたいな事をやらされた。

しまいには脅迫まがいのことまでされて、あげく家族でもない癖にと侮辱され切り捨てられた。

その日から数日私は記憶を失った。

解離性と言う、心的ショックで本能的に身を守っているらしい。


何かしら尾を引いて、昨年冬から刃物が握れなくもなった。

どうしても手を切るイメージがあって、実際ケガをしてしまう。

医師はPTSDで、本能で刃物を避けているのだから悪い事じゃないと言うけど不便している。

手でちぎれる物は限られているし。


そんなこんなありながら、タクヤと11年が過ぎようとしている。

この川の流れる先には何があるのだろう。