母は笑顔で駅へ向かった。

しばらくして、ユウの部屋に三人でいると母からユウの携帯に電話が入る。

『ユウ君は本当にいい子だ』

そう言っていたらしい。


同じ孫なのに可哀相なケイ。

私への電話もない。


ユウの母への気持ちはまるで嘘ではないだろうが、普段は全く別人なのに。

ユウは私にも酷く冷たく、弟にもよそよそしい。

本当に彼女の事ばかりだ。


後でユウがケイに言う。

『ばあちゃんはケイ君とは思い出が少ないから、思い出が欲しいからお城に行きたかったって言ってたよ』

「それなら怒鳴らずにもっと普通に言わなきゃ、あんなふうに言われたらややこしくなるわ」


母は私が病気になっても情け容赦なかった。

自分が病んだら自分の事ばかりだ。

父が死んで、実家の四分の一は私にも権利があるのに、あつかましいから来るなと言った。

ケイはおじいちゃんとおばあちゃんの思い出の詰まった私の実家に行かせても、泊まらせても貰えなかった。

姉が私を母に近づけまいとしているから、私にとってもきっと最後のチャンスだったのに。

それなのにこれは後で話すが、ユウと彼女は実家に呼び付けたのだ。

しかも姉まで呼んで。

自分がどんな事をしているのか、母はわからないのだ。

いつかカウンセラーに、母は宇宙人で通じないのだと思いなさいと言われたが。