近くに住んでいれば、自分からすぐに会いにもいけるだろう。

遠ければそれもできない。
卑怯だ。

遠距離恋愛がどんなに苦しいか、それにこの行動は最悪だ。

不安にさせないのが暗黙のルールだ。

全てを捨てて同じ町に来たのをいい事に、全てを捨てて来たのになかなか会えないから、病気になり子供がいても家事をしがてら時間を作る私に、いつでも会えるじゃないかと言うのだから。

タクヤの帰省の度に辛くていつもの私じゃなくなった。

「夫婦なら同じ家で寝起きするからまだ違ってただろう。
でも夫婦じゃないからそんな寛大な気持ちにはなれないし、音信不通で帰省され邪魔者呼ばわりで淋しがったり怒ったら変とか言われたくない!」


そう言う私の言葉の意味が、まるで文化の違いのようにタクヤには伝わらなかった。