お兄ちゃんがパンフレットを出した。

「そらと同じガッコ。行きたかったんだろ?

手続きは済ましたし、同じクラスにもした。
だけど条件があるんだよ」

嬉しい反面、その条件が厳しいものだと悟った。

「…お前は全く、勉強をしていない。

字を書くことだって難しいんだ。
だから高校の授業にはついていけない。

お前にとって、暇な時間を過ごすことになる。

それでもいいんだな?」

「勿論だよ、お兄ちゃん!」

私は窪野さんと繋いだ手を、握り締めた。


今日、愛する人と幸せを手に入れた気がした―…。




窪野さんの家に行くと、藍が待ち伏せていた。

そしてそっと抱きしめてくれた。

「おかえり、歩」

「ただいま。藍」

「決めたんだろ?」