「…すみません。藍…、怒らないで」

「っ…」

何故か頬を赤らめてしまった。
人の感情は分からない。

怒ったり、頬を赤くしたり…。

お兄ちゃんにはなかった反応…。

凄く新鮮な気分だ。

「藍?」
「何でもねぇよ、ほら。これ」
「?」

手に鍵を渡された。
そこには赤いリボンがついている。

「オトコだから…オンナの趣味とかわかんねぇーけど。

お前とせっかく同居なんだし。
少しは喜ぶかと思ったんだよ」

「ありがとうございます、嬉しいです」
「お、おぅ…」

藍がくれた、鍵。
何だか魔法のアイテムみたい。

凄く心が弾む気持ちは何だろう。

藍のことを少しずつ知れたらいいと思えた。

「俺、今日昼間から明け方近くまでいないから。
食いモンは、金置いておくから」

「…はい」