俺は恐怖で、震えていた。

あゆみがいなくなるのは、ずっとわかっていた。
いつかはいなくなることくらい。



「…俺は怖い」



お兄さんが呟くと、俯いていた。


「でも方法は、何もしないことが大事なのよ…」


医者もまた、悲しそうに喋り続けた。

俺等はそれを受け入れる以外に方法はなかった。



「あゆみと2人にさせてください…」


「えぇ」



俺は椅子から立ち上がると、あゆみの病室に入った。

見ると寝息をたてて、眠っている。



穏やかな顔は俺に安心をくれた。


そっと手のひらを握り締める。