「うん。命は消したくないもの」 「お前らしいよ。じゃあ旅行中はそらに言うな。 帰ってから言えよ」 「…この病院のお医者さんは優しい人だった。 だからまた、具合が悪くなったら来たい」 「自宅から遠いんだぞ?」 「死期が近づいたら、こっちに入院しようと思う。 そらにも帰ったらちゃんと話す」 「そうだな…、寂しくなるな」 「会えなくなる、ワケじゃないよ」 「会いに行っていいか?」 「勿論来てね」 藍が不安そうに見つめて、そっと手のひらを握った。 「少しだけさせてくれ」 「…うん」