「窪野さんっ、あれ!」

「ん?このうさちゃんのお菓子?」

「はいっ、食べてみたいです」

「はいよ」

(図々しいかも知れないな、私って)

「図々しくないからね?」

そういって、買ってくれた。

「読まないで下さい」

「本当に合ってたんだ。ふぅん」

「…」

ウサギのミニシューのお菓子。
一度食べてみたかった。

この前CMにもなってたし。

「こんなこと聞くのはあれなんだけどさ。キミのお兄さんは優しかった?」

「…時々は優しくなかったです。

普通にいけないことをしたら、叩かれましたし。

だからこそ、誰よりも強くなれました。
両親がいない分、兄の存在が救われたので」

「…そうなんだ」

「でもいざ、知らない人しかいない世界に行くと、

勝手に誰でも信頼しちゃうんです。その人しか、頼る人はいないって分かるから」