「取りませんが」

「っへ!?何てこったいじゃん!」

「ケータイって何でしょうか…。外国の…何かですか?」

「難しいね…。うぅん、でも持っといたほうが便利かな。

藍に相談してみよう」

すると、窪野さんのポケットから手に収まるほどの四角いものを取り出した。

「それが…ケータイ?」

「そうだよ、これ便利だし。っと、もしもし?」

「…」

私とお兄ちゃんは、本当に何も知らない。

今でもお兄ちゃんは元気にしているかな。
私だけ幸せになってるから…。

だけど、人の感情は分からない。

お兄ちゃんが、辛い目にあっていても
私は所詮、住んでいる世界を変えた。

だから、お兄ちゃんの気持ちは、今となっては分からない。

「…うん、オーケイ」

ケータイというものから、音が消える。

「ケータイ買えって、怒ってたよ??それじゃ買いに行こう」

頷こうとしたとき、お腹が大きな音で鳴った。

「っぷ…、はははっ」