誰よりも笑顔が、私には得意だったから。


すると病室に驚く人が入ってきた。



「…ごめんなさい」


そう呟いて、ドアのところに立っている。

細くて白い身体。


恵まれた人生。



「入ってください。柊さん」


少しだけ微笑むと、泣きそうな顔をしていた。


「…あゆみちゃん。私知らなかったの…、貴方がただ平凡に生きていてそらとめぐり合って、付き合ったんだって。


でも…深い事情があったなんて…」


羨ましい感情なんか何1つないんだ。


「…柊さん。私はどんな家庭で、また別の人生だったとしても―…。

窪野さんには出会えていた気がするんです」