あゆみは起き上がって、座っていた。


ベッドの上で静かに窓の外を見ている。


「あゆみ…」

「あ、藍とお兄ちゃん」


いつもの笑顔が見えた。


「…」


「どうしたの?」

「だってお前…」


俺が言いかけてお兄さんが、先に喋った。


「何も聞いていないのか…?」


「ううん…、そんなことないよ。余命でしょ?」

「…あゆみ」


お兄さんは、あゆみのことを理解している。

それは誰よりもだ。


どうしてあゆみが泣かないのか、俺には分からなかった。

「窪野さんは?」