藍はただ、俺に声をかけてくれた。


その言葉に泣きそうになっては、何も出なくて。


「…あゆみは何で不幸ばっか…」


「違う。そら、あゆみは幸せ者だった」

「え…?」


藍がそういって微笑んだ。

お兄さんもだった。


「アイツは俺の傍から離れても笑えてた。

それはお前、そらのおかげなんだよ」


「…お兄さん」



俺はまた、1人孤独の世界にいたのかも知れない。


「あと…、柊っていうモデルの子。泣かしたって?」

「知らない…」


「…何があったかは知らないけど。女子を泣かしちゃ、男じゃねぇんだぞ」


お兄さんが呟いた。

俺は首を横に振った。