だけどもう遅いんだ。

何も今は考えないことにしよう。

でないと私はまた、自分を責めるから。


「何でもないや」

「そう?」


窪野さんの手を握り締めた。


「明け方には帰ってくるの?」

「うん。そうだね」

「朝ごはん作り置きしとくね」

「ありがと」


そっと抱きしめられて、私は俯いた。

「好き…」

窪野さんがそっと囁く。

私も小さく頷いた。

「私も…」


どちらから近づいたか分からないけど、触れ合った

唇はとても温かく感じた。


家に着くと、窪野さんは藍を連れて戻ってきた。


「じゃあ」

「うん。いってらっしゃい」