俺はお兄さんが立ち去った後、

空を見上げた。


自分と同じ文字。


どうして、俺に“そら”なんてつけたのか

今でも分からない。

だけど、あり難く思える。

俺には、この言葉が一番似合うと思えたから。


「…俺も教室戻ろうかな」


そう思って振り返り、ドアを開けようとしたとき。


「あ。窪野さん」

あゆちゃんが、俺の元に来てくれた。

そして、屋上でまた話すことに。


「さっき、あゆちゃんのお兄さんが来たよ」


俺は誇らしげに空を見上げた。


「本当に凄いお兄さんだね」


彼は俺の憧れ。

それは昔から変わらないことだ。