「何?」

「…そらのコトなんだけど」

そういった、藍の表情がどんどん暗くなる。

「アイツ。お前が昔、近所で苛められてたの見てたんだって。

それで、助けようとしても…。

俺が引き止めちゃったんだよ。

理由は、近所の奴らはたちが悪いし、俺やそらはたまたまその場に

居合わせただけで、住む場所は全然遠いところだった。

だからその間には割り込めなかった。


あの日の事を、俺等は今でも後悔してる。

だからお前を引き取るとき、そらは泣きながら。

『藍がひき取ってあげて。俺にはその資格はない』

そう言ったんだ」


藍もまた、辛そうな顔をしていた。


「あの日、助けれなくてごめんな…」

「ううん。もう大丈夫だよ。辛い体験があるからこそ、

私は強くなってるから。

藍は何も悲しまないで」

2人の思いが、痛い程に分かった。