勇斗side

コツコツコツ……
静かな廊下に僕の靴音が響く。
C棟は4階まであって1階は視聴覚室,2階は神隠し部という謎の部の場所,3階が僕達,飼育部の場所,4階が生徒会の場所だ。
この2つの部と生徒会はこの学校のトップと言って良い程の権力を持っているし,特別なのだ。
部室の扉の前に立つ。
『飼育部部室』
さてと,入って例の事を雅兄に報告しようかな。
キィィィイイ……

「雅兄さん♪」

機嫌が良いからそう言うと,雅兄は僕の方を見て微笑むと

「何か良い事でもあったのかい?」

と問いかける。
僕は満面の笑みで

「うんっ!すっごく良い事♪」

と言った。

「そっか,何があったんだい?」
「あのね!あの子に会ったの!!」
「あの子?」
「そう!奈央ちゃんに会ったの!!」
「奈央に…!?」
「ふふっ相変わらず可愛かったよ♪」
「お前はまた,奈央を弄ったな?」
「えー?そんな事してないよー?」

にこにこしながらそう言うと,雅兄は苦笑した。
バァァァァァァァァンッ!
勢いよく開いた扉。
…壊れてない、よね…?

「すみませんっ!遅れました!!」

茶髪の彼が狐の耳をピンと立てながら部室に入ってくる。

「ここだから良いものの…他の所だったら驚かれてるよ」