「なんで言わなかったんだよ!しかも、先輩と寝たって…どういうことだよ。」


すると芽衣は涙を流した。


「!?」


流石に俺は強く言いすぎたと反省した。

俺は芽衣の幼馴染だから、裏切られた気がして、ついきつく当たってしまった。

嘘であってほしい。それだけが俺の望みだった。


けど、現実は噂通りの事が多い。



「ごめんね、ごめんなさい、奏ちゃん。私、私っ。」


顔を覆うように声を上げて、本格的に泣かせてしまった。

俺は立ち上がってティッシュを持ち、芽衣に渡した。


「やっぱり本当なのか…?」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。」


そのままずっと「ごめんなさい」が20分位続いた。

芽衣も何かしら事情があったんだ。恐らく寝たのは事実なんだろう。けど、理由があるはずだ。

俺は芽衣が落ち着くまで、芽衣の背中を撫でて「悪かった。」と謝り続けた。