「私以外を見ないで。」
「は?」
真剣な目をして俺に言う。
芽衣以外を見ないでってどういう事だ?
俺は言葉の意味を理解できなかった。
少し考えていたら、紗和ちゃんが戻ってきた。
「はい、白谷さん腕出してね。」
「………。」
芽衣は素直に腕を紗和ちゃんの前に出した。
紗和ちゃんは腕全体に消毒液をふりかけて、ある程度血をコットンで拭き取ったら、丁寧に包帯を巻いてくれた。
もちろんだが、俺よりも綺麗だった。
「………白谷さん、何か辛い事あったの?」
紗和ちゃんが不機嫌そうな顔をしていた芽衣に問いかける。
すると芽衣は目を見開いて、今度は両手で顔を覆うようにして泣き始めた。
「私が、私が悪いんです。私が生きてるだけで、みんなを不幸にする。」
「………何かあったんだね。白谷さんは頑張ってきたんだね。思う存分泣きなさい。」
「うぅ、うあああああああああああああああ!」
声を上げて芽衣は泣き叫んだ。
幸いにも保健室には俺たちしか居なかった。
