芽衣が、芽衣が死んでしまう。
それだけが俺の脳内を占めていた。
流石に女子トイレに入るわけには行かないため、トイレの前で俺は芽衣にラインした。
神崎 奏
トイレ前に来た。
AM8:05
その数秒後、直ぐに芽衣はトイレから出てきた。
血まみれの包帯を抱えて。
俺は息を飲んだ。
出てきた芽衣は両腕がすでに血まみれで、右手に包帯、左手にカミソリ、そして泣いてるのに、笑っている。
俺は直ぐに一度芽衣を抱きしめた。
「…奏ちゃん、来てくれたぁ。」
言葉が出てこなかった。
とにかく手当をしなくてはと思い、俺は芽衣の手を引いて保健室に移動した。
その間、周りの視線は芽衣の腕に集中し、ヒソヒソ話が聞こえてきたが、全てシャットダウンして早足で保健室に向かった。
