「おはよう。」


以前と変わらない笑顔で挨拶をしてきた。


「おはー、って朝練ねぇの?」


そう、吹奏楽はほぼ毎日朝練をしている。
毎年全国常連の強豪校だ。同じクラスに居る吹奏楽の友人も、土日学校に来て演奏しているという事を知っている。


「あ、うん。やめちゃった。」

「はぁ!?やめた?」


芽衣は中学でも吹奏楽を続けており、何度か演奏会も行ったことがあった。
カバンにフルートのストラップを付けるほど、音楽を愛していたのに、一体何があったと言うんだ。

そして芽衣は何かを隠すように笑う。


「そう、向いてなかったのかな…。」

「そんな事ねぇよ!俺音楽わかんねーけど、芽衣のフルートはソロ任される位、うまかっただろ!!」

「………ほら、学校行こ?遅刻するよ?」


芽衣は俺の手を取って歩き出した。

だけど、俺はまだ腑に落ちないところがあり、イライラしたままだった。