だから、いじめの件は仕方ないとは言えないが、因果応報ってやつだと思う。
「でも、昔ね、奏ちゃんに私の音好きだって言われて、やめないで頑張ったんだよ。でも、辛くて、あの感覚が忘れられなくて、また和哉先輩に連絡して抱いてもらったり、和哉先輩の友達も私の事を愛してくれた。」
少し嬉しそうに話しながら俺に伝える芽衣。
こんな風に変わったのは、きっと俺のせいだ。初めの段階で気がついて相談に乗っていればこんなことにならなかったはずなのに。
聞けば聞くほど、俺が辛くなってきた。
「そのときは本当に満たされていたの。不安なんて無くなって………。でも、ミサが私の異変に気がついて、『もうこんな事やめよう?』って言ってくれた。そこで私も自分がしてきた愚かな行為に気がついて、次はリストカットをし始めた。」
芽衣は自分の左腕を見せてくれた。
あの時の白い美しい肌はなくなり、手首から前腕の全てに網目状の傷跡と瘡蓋が見られた。
俺はその手を取り、そっと撫でた。
「当然こんな事していたら気味悪がられるよね。でも、止められなくて。いつしか全員から無視されるようになった。もう、私は音楽を続けて行けない。そう思って、退部届け出して、最期に奏ちゃんの顔を見て、今日帰ったら首を吊ろうと思っていた。」
この1年。芽衣はどれだけ辛い思いを背負ってきたのだろうか。
俺が笑って遊んでいる時に、芽衣は…。
