混乱している俺を他所に、芽衣は話を続ける。
「初めはね、奏ちゃんに相談しようと思ったんだよ。でも、ミサが奏ちゃんの事が好きだから協力してって言われて、言い出せなかった。それに、奏ちゃんもバイト忙しそうだったし。」
【桜衣 ミサ】は芽衣の親友だ。ミサも俺と上条と面識があり、中学の頃は4人で夏祭りに出かけた事もあった。最近は見ないけど。
まさかミサに好意を寄せられていたとは、知らなかった。
「ミサの事は置いといて、バイトって言ったってシフト制だから休みの日位あったよ。」
「でも、奏ちゃん休みの日はいつも上条くん達と遊んでいたじゃない。」
それは事実だ。
休みの日だからこそ、貯めたお金を使って遊んでいた。
確かに、好きな癖に、芽衣の事よりも自分で貯めたお金を使って、友達と遊ぶ方を優先させた俺が悪い。
「そう、だったな。」
「ご、ごめんなさい。奏ちゃんを責めた訳じゃないの。私も奏ちゃんに守られてばかりだから、もう迷惑かけたくなかったの。だから、私も悪いの。」
「…。」
「そしたらもう辛くて、練習も身に入らなくなって、顧問の先生や同じパートの子、先輩に怒られて、死にたくなった。そんな時に、沙良先輩が相談に乗ってくれたの。」
「沙良先輩?」
「和哉先輩の彼女。沙良先輩と放課後話していたら、和哉先輩も相談に乗ってくれて、その日3人で帰った。で、和哉先輩が沙良先輩のラインから私の事を見つけてくれて、ずっとラインで励まして貰っていた。」
