【短編】箱の中身は彼女でした。





また突拍子もないことを言われて、思わず吹き出した。




「やー、あき汚いー! つば飛んだよー」




服の袖で俺が飛ばしたつばを、ゴシゴシと拭き取る彼女を見て思う。




確かにコイツは、突然びっくり発言をする奴だった。


でも、こんな変態じみた発言をすることはなかった…はずだ。



……ってか、ちゃんと意味わかって言ってんのか?




「……あのさぁ、お前、その意味ちゃんとわかってる?」


「……え? 当たり前じゃん。

それに、あきが言ってたんだよ?」


「………は?」




「ほら、1年前…」と言われて、1年前の出来事を

必死に頭の中に巡らせる。