「何で・・・?何でよ、タク!目ぇ覚まして・・!!」
俺のぼんやりした意識の中に、聞き覚えのある声がこだました。

ここは、どこだ・・・?気付くと、俺は、自分の家の居間にいた。
なぜか俺んちには人がいっぱいいて、みんな泣いていた。黒い服を着て。
これ、葬式の服??俺んちで、誰か死んだっけ??

居間の奥まで行くと、ナツがいた。ナツは、座って何かに覆い被さって泣いていた。何でナツが俺んちに来てるんだ??今日、会う約束してたかな?しかも、何で泣いてるんだよ・・・??
「おぅ、ナツ♪なぁ~に泣いて・・・!」
俺は、そう言いかけて口をつぐんだ。思わず絶句した。

ナツは、棺に覆い被さって泣いていたんだ。しかも、俺の入った棺に。頭が真っ白になった。俺・・・ここにいるじゃねぇか・・・!!何かの間違いだろ!?俺が、もう一人?!
俺はナツの肩に触れようと手を伸ばした。「おい!!ナツ!どういうコトだよ!!」ナツの肩に手を置こうと手を伸ばした俺の手は、空を切った。
何だ・・・。これ・・?自分の手を見ると、透けていた。自分の手を通して、周りが透けて見えていた。


俺は、床に崩れ落ちた。