ハロウィンの夜。


人が住む街から少し離れた山道。

トンネルが続くこの場所には不思議な都市伝説があった。

面白半分で肝試しに来た6人の若者達。



一つ目の黒猫トンネルを走って抜けた後、後ろを振り向く。

二つ目の金色トンネルを歩いて抜けた後、後ろを振り向く。

三つ目の満月トンネルを早歩きで抜けた後、後ろを見た者は黄泉の国へ連れていかれる。

助けて欲しければ、ミヤコさんを呼ぶこと。

ミヤコさんはその人の記憶と引換に助けてくれる。

それが、都市伝説の内容だった。

都市伝説なんて誰も信じていない。

ただ、面白半分で来ただけだった。






「ミ、ミヤコさん!ミヤコさん!助けて下さい!」


大声でミヤコさんを呼ぶ彼らは先程の6人だった

そして、彼らの前にたったのは招かれざる客。


幽霊。
そう呼ばれる魔界に住む、姿形もない者達。


「コックリさんコックリさん。

誰かが私を呼んでますよ?」


「ミヤコさんミヤコさん。

誰かが貴方を呼んでますね」


現れた少年と少女。

青い服の少年と赤い服の少女。

対照的なのにどこか似ている雰囲気と二人の瓜二つの顔。

「コックリさんコックリさん。

闇夜と共に彼の者とお帰り下さい」


「ミヤコさんミヤコさん。

闇夜と共に彼の者を葬りましょう」

赤い目と青い目を見せたコックリさんとミヤコさん。

瞬間、居なくなった6人の若者達と赤と青の少年少女。

そして1人、残された少年の名前は、リラ。


『みんな消えちゃえば、早いだろ?』



━━━━━━同時刻━━━━━━━


黒い世界に似つかわしくない大きな洋館。

広い屋敷のなかをコツコツと足音をたて落ち着きない一人の男が怒鳴った。


「遅い!私たちの子供は何処だ!」


一人の女性が品の良い服を身にまとい静かに呟いた。


女性「やはり、人間なんかに任せたからこうなったんですわ」


男の怒声に怯えるそぶりは微塵もない。



いかにも高齢者のおじいさんが良い放った。


おじいさん「我一族最後の希望ですぞ!」


3人とも、言葉を違えど言いたい事、伝えたいことは同じらしい。

切羽詰ったようにも聞こえるその声は酷く乾いている。


男女「お、お許しください!」


女性「お黙りなさい。

あの子がいない以上、あなた達に用はありません。死になさい」


男「仕方ありません。

人間を何人殺めても構いません。私達一族の末裔を人間界から取り戻しなさい!!!」


そう良い放った男は執事服のおじいさんと女性を連れて出ていった。


???「「「了解しました。ギア様マヤド様レジャ様。我らの命主の為に」」」


後で密会が行われていたことも知らずに。


ギア、マヤド、レジャと呼ばれた三人はレッドカーペットとも言える赤いカーペットの上を歩いて各々の部屋へ戻って行った。


ホラン「おい!ライル!ライルはどこだ」


三人が部屋を出て口を開いたのはホワイトナイト、ホラン。


ライル「ここにいますが?」


ホランの後ろから気配もなくにゅっと出てきた黄色い少年。

黄色い目に黄色い髪。

黄色と青のモノクロは少年の顔立ちに合っていた


ホラン「おい!お前化けることができるんだろ?」


{化ける}それは、ナイトとして持つ事の許された能力の内の1つ。

イエローナイトライルは6つの能力保持者だった。


ライル「ええ、できますけど?」


それがどうした、そう言わんばかりの目線をホランに向ける。

その視線に過剰に反応するのはやはりホランだった。

周りのカラーナイト達は呆れたような、災難を目の当たりにした様な目でライルを見つめていた。


(そんな目で見るなら助けてくれればいいのに)

拗ねたようにそっぽを向いたライルは目を逸らした。


ホラン「お前、一族の末裔を殺せ」


ホランの言葉にライルはもちろん周りにいるカラーナイト、ホランとライルのグレーナイト達が固まった。


ライル「.....……何故?」


もちろんその答えをライルは知ってる。


戦略家のライルの持つ能力の一つ、それは未来予知。人間界では千里眼とも言われている。


故に、これから起こることも、これから自分がすべきことも、全てを見通している。


ホラン「ホワイトナイト・ホラン・D・サトゥルの名を持って契約する。イエローナイト・ライル。

地の元へ戻り末裔を我が手中に持ってこい。

一族の末裔を我が手中に収まる時、イエローナイト・ライルに我が能力の一つを授けよう」


ホランの言葉を最後にライルは体を縮めた。
それは、服従の誓い。

ホランの盟約にライルが従った服従の証だった。


そして一言。


ライル「ホワイトナイト・ホランの盟約により地の元へ戻り一族の末裔を捕まえて帰る事を誓う。」


ホランはライルの姿を、言葉を聞き、踵を返して自分の領地へと飛び立った。

それに続く様にカラーナイト達も自身のグレーナイトを引き連れ領地へと戻っていった。


ホランは見えただろうか?
ホランの契約の言葉でライルが微笑んだのを。


ライルの本当望みがホランに分かるだろうか


ライル「グレーナイトよ、私が戻るその時まで、イエローナイトの名の元に光を絶やさぬと約束してはくれないか?」


グレーナイト「「それがライル様の望みとあらば、命を捨てても従いましょう」


ライル「只今よりお前たちの主はホランだホランに仕えよ」


グレーナイト「はっ」


ライルの言葉を最後にグレーナイト達は飛び立った


大きい部屋にライル一人


ライル「ハハッ、アーハッハッハアハ、アハハハ」


突然笑い出したライルを止められるものはもうどこにもいない。


同時にライルの計画を止める者もいなくなった。































ライル「アハハ、面白くなったな〜この物語どうなるか気にならない?

消えた最強一族の末裔、名をリラ。

人間界で彼は何を思い何を感じる?


一族の末裔を自分の駒にしようと企むホラン。

バカだよねぇ。魔王の子供がそんな簡単に揺るぐと思ってるのかなぁ?

アハハ!アハハハハハ!ほんっとうバカだよねぇ」