チョコミントが溶ける頃に

 隣で深呼吸するのが聞こえた後、生嶋さんが三度目のあの言葉を言い出した。



「さっきも言ったけど、私と、デート……してほしいんだ……」



 何度も何度も言わないで欲しい。


 恥ずかしくなってくるし、勘違いが進んでしまう。



「今から? 二人で?」



 まさか、とは思うが二人きりじゃないだろう。


 ぼくにこんな出来事があるはずがない。


 きっと友達のWデートの人数合わせとか、何かの買い出しに一緒に行って欲しいとかいう類のものだと思う。



 自分に言い聞かせながらも、心のどこかでは少し期待を寄せてしまっていた。


 生嶋さんは恥ずかしそうに、なんとこくりと頷いた。



「今から、二人で。……どこか行きたいところってある?」



 えええええっ!?


 女子と二人でデートだなんて、生まれてこのかたしたことがない。



 こんな時どうすればいいんだろう!?


 
 混乱とドキドキでいっぱいのぼくは、生嶋さんの問いかけに気が付かなった。