チョコミントが溶ける頃に

 隣に立つことでさえちょっと恥ずかしくなってくるよ。これは意識している証拠だ……。

 
 というか、ここは男のぼくから話を切り出したほうがいいのかな?



 そう思っていたら、生嶋さんに先手を打たれてしまった。



「あの、世尾くんさ……私のこと覚えてる……よね?」



 心配そうに、実に不安そうに目を伏せて聞いてくる。

 
 去年はクラスメイトだったのだから忘れているはずがない。



「もちろん、覚えてるよ」



 笑って言うと、生嶋さんもだよね、と恥ずかしそうに笑った。




 彼女はぼくと同級生の生嶋幾羽(イクシマイクハ)、高校二年生。


 クラスでは静かなグループで過ごしているけど、恋愛の噂では度々その名前を聞いた。



 正直言うと、け、結構可愛いし……ってダメダメだってば!



 よく見れば、生嶋さんは薄い化粧をしていた。


 
 そういえば腕細かったな……。


 骨なんじゃ、というくらいで、掴むと腕の骨に当たる。